
みなさん、こんにちは!
今回は、海釣りの中でも特に奥が深い「ウキフカセ釣り」の基本を解説します。
堤防のチヌ(クロダイ)や、磯のグレ(メジナ)。この二大ターゲットを相手に、撒き餌(コマセ)で魚を寄せ、潮の流れを読み、仕掛けを同調させる。ウキフカセ釣りは、海中を立体的にイメージして組み立てる非常にゲーム性の高い釣りです。
「堤防と磯で釣り方は変わるのか」という疑問を持つ方も多いですが、「潮を読み、コマセと刺し餌を合わせる」という本質はどちらも同じです。
今回は、足場の良い堤防から本格的な荒磯まで通用する、ウキフカセ釣りの普遍的な極意を分かりやすくお届けします。
1. フカセ釣り二大ターゲットの違い
ウキフカセ釣りとは、単にウキの動きを見て魚が掛かるのを待つ釣りではありません。撒き餌(コマセ)で魚の食い気を高めて人工的なエサの帯を作り、そこにハリのある刺し餌を自然に紛れ込ませる釣りです。
ターゲットに合わせた戦略を立てるために、まずは二大ターゲットの性質や釣り場の環境の違いを網羅した以下の比較表で、全体像を頭に入れておきましょう。
チヌ・グレの狙い方と環境の比較一覧
| 項目 | チヌ(クロダイ) | グレ(メジナ) |
|---|---|---|
| 主な生息域 | 海底(ボトム)付近、堤防の壁際 | 岩礁(根)周り、中層から表層 |
| 釣り方の基本 | 仕掛けを海底に這わせる「底狙い」 | 撒き餌と仕掛けを合わせる「タナ狙い」 |
| 撒き餌の性質 | 比重が重く、海底に一点集中するタイプ | 比重が軽く、水中で横に広がるタイプ |
| 主な釣り場環境 | 足場が良いが魚がスレている堤防 | 潮の流れが速くパワーが必要な磯場 |
チヌ(クロダイ)の生態と狙い方
チヌは主に海底付近や、堤防の壁際、カケアガリに生息しています。嗅覚が鋭く、濁りを好むのが特徴で、警戒心は強いですが好奇心も旺盛な魚です。
釣り方の基本は底を狙うことです。比重の重い撒き餌で海底の一点にポイントを作り、そこへ仕掛けを這わせるイメージで組み立てていきます。
グレ(メジナ)の生態と狙い方
グレは岩礁(根)の周りに生息し、潮に乗って中層から表層まで浮上してきます。視覚が鋭く、潮の流れに非常に敏感で、撒き餌の帯に突っ込んでくるような動きを見せます。
釣り方の基本は層(タナ)を釣ることです。比重の軽い撒き餌と仕掛けを海中で同調させ、立体的に探っていく必要があります。
堤防と磯における環境の違い
チヌとグレを狙うロジックは共通していますが、釣り場の環境によって求められる要素が変わります。
足場が良い堤防は、釣り人が多いためスレている賢い魚が多い傾向にあります。そのため、魚に違和感を与えない繊細な仕掛けの構築が求められます。
一方で、潮の流れが速く複雑な磯場は、魚の引きも強烈になります。根に向かって走る魚を止めるタックルのパワーが必要になり、安全に釣りを楽しむための装備を整えることが大前提となります。
狙うべき一級ポイントとなる潮目
海面を観察していると、泡や流木、ゴミなどが一列に長く溜まっているラインを見かけることがあります。これが潮目と呼ばれるフカセ釣りの大切なポイントです。
潮目が発生している場所の下には、下向きの潮流である潜り潮が発生しています。ここに仕掛けを乗せると、撒いたコマセが自然と1箇所に溜まる構造になっているため、魚が効率よくエサを捕食しに集まる絶好の狙い目となります。ゴミが溜まっているラインを見つけたら積極的に仕掛けを流してみましょう。
2. ウキフカセ釣りのタックル選び
ウキフカセ釣りの道具は年々進化しており、タックル選びが釣果を大きく左右します。特に最近は、扱いやすいラインシステムの登場によって選択肢が広がっています。
ロッドは狙う魚に合わせて号数を選ぶ
ウキフカセ釣りで使用する磯竿は、仕掛けの操作性や取り回しの良さから5.3mが標準的な長さとなります。竿の硬さを示す号数は、ターゲットに応じて使い分けるのが基本です。
チヌをメインに狙う場合
堤防や波止からのチヌ釣りをメインにするなら、0.6号から1.0号の低号数が適しています。柔軟に大きく曲がる竿を使うことで、チヌ特有の首を振るような叩く引きを綺麗に吸収し、細いハリス切れを防ぎます。
グレをメインに狙う場合
磯場からのグレ釣りを想定するなら、1.2号から1.5号のパワーが必要です。掛けた瞬間に鋭く根に向かって突っ込むグレの引きを受け止め、強引に魚の頭を上に向かせる強さが必要になります。
シマノ アドバンス イソ 1.5号 530
手頃な価格帯でありながら、ネジレに強い基本構造であるスパイラルXを搭載した本格的な磯竿です。穂先にはしなやかで頑丈なタフテックαが採用されており、不意のライントラブルを軽減します。コストを抑えつつ、堤防から本格的な地磯まで幅広く使い回せる最初の1本を探している方に最適です。
シマノ ライアーム 1.2号 530
軽さと粘り強さを高い次元で両立させた、磯釣りの本格ミドルクラスロッドです。スムーズな曲がりを実現する独自の設計であるパラボラチューンRが採用されており、魚の急な突っ込みに対しても竿全体できれいにパワーを受け止めます。魚を無駄に暴れさせずに浮かせることができるため、ワンランク上のやり取りを目指す中級者におすすめです。
リールはレバーブレーキ機能付き
ウキフカセ釣りを本格的に楽しむなら、レバーブレーキドラグ(LBD)リールの導入がおすすめです。
レバー操作によってローターを逆転させ、瞬時に糸を出せる仕組みになっています。魚が急に突っ込んで竿がのされそうになった際、一時的に糸を出して竿の角度を立て直し、仕掛けの破断を防ぐというウキフカセ釣りならではのやり取りが可能になります。
ダイワ 23 シグナス 2500H-LBD
レバーブレーキリールの基本性能を高い水準で満たした実力派モデルです。たわみの少ない強固なモノコックボディと、軽い力でも瞬時にローターを止められるバイターボブレーキを搭載しています。確かな制動力と滑らかな回転性能を備えており、初めてレバーブレーキリールを触る方でも扱いやすい仕上がりです。
ダイワ 23 ラグザス 2500H-LBD
上位機種に迫る高い剛性と耐久性を備えた、ワンランク上のレバーブレーキリールです。魚の引きに合わせて滑らかに追従するブレーキ性能を持っており、細ハリスをいたわりながらの大物とのやり取りを有利に進められます。実釣性能の高さはもちろん、デザインの高級感にもこだわりたい大人のアングラーにふさわしい1台です。
道糸は高比重PEライン
従来はナイロンラインの道糸が一般的でしたが、現在は高比重PEラインを選ぶ釣り人が増えています。
PEラインは伸びがほとんどないため、遠くにあるウキの動きや小さなアタリが手元へ明確に伝わるメリットがあります。さらにナイロンより細くできるため、風の抵抗を受けにくい点も有利です。
ただし、穂先への糸絡みが起きやすい側面もあるため、まずは扱いやすい太さから慣れていく必要があります。
PEの0.6号から0.8号に、クッション性と擦れへの対策としてナイロン製のショックリーダー(1.7号から2号前後)を3ヒロ(約4.5m)ほど接続するシステムが標準的です。
シマノ ピットブル G5 0.6号
フカセ釣りで扱いやすいように設計された、水に沈む高比重シンキングPEラインです。風が強くラインが煽られやすい状況でも、素早く水面に馴染んで仕掛けを狙ったポイントへ落ち着かせることができます。風による糸ふけを抑えられるため、仕掛けと撒き餌を同調させる作業が格段にスムーズになります。
3. ウキの種類と状況に合わせた浮力の使い分け
ウキフカセ釣りにおいて、ウキは単に魚がハリをくわえたときのシグナルを伝えるだけのものではありません。海中深くにあるハリスや針がどのように流れているか、潮の流れの向きや速度を釣り人に教えてくれる精密なセンサーです。状況に合わせて適切な浮力設定を選ぶことが釣果に直結します。
状況や釣法で選ぶウキの浮力規格
ウキには様々な浮力規格があり、仕掛けの重さや狙うタナ、あるいは当日の風や波の強さに応じて最適なものを選定します。
安定感抜群のBから3B
ウキフカセ釣りにおいて最も標準的かつ扱いやすい浮力規格です。しっかりと重さのあるガン玉を打つことができるため、風が強い日や潮の流れが速い状況でも、仕掛けを狙ったタナまで確実に素早く届けて安定させられます。堤防でのチヌ釣りや、波気がある状況での最初の選択肢として外せません。
全層を探れる0から00
主にウキ止め糸を結ばずに仕掛けを沈めていく全層釣法(沈め釣り)で多用される規格です。ウキ自体の浮力がほとんど、あるいは全くないため、オモリの重さに頼ることなく仕掛けの自重だけで撒き餌と同じスピードでゆっくりと海中に馴染んでいきます。仕掛けに違和感がないため、警戒心の高いスレたグレを相手にする際に極めて強い力を発揮します。
キザクラ 黒魂 Ace
チヌ釣りに求められる高い遠投性能と視認性を両立させたドングリウキです。どっしりとした低重心のビッグボディを採用しているため、逆光や波がある状況でもウキの位置をはっきりと見失わずに視認できます。自重があるため軽い力でもスムーズに遠投でき、狙ったカケアガリなどのポイントへ正確に仕掛けを送り込めるチヌ釣りのド定番モデルです。
釣研 ゼクト SR
王道のウキ止めを使用する半遊動仕掛けにおいて、圧倒的な扱いやすさを誇るグレ釣り専用ウキです。頭部をフラットな形状にすることで、魚がエサを引っ張った際の吸い込み抵抗を極限まで軽減し、渋いアタリでもスパッと気持ちよく海中へ消し込みます。ブレずにまっすぐ飛ぶ安定した飛行姿勢も魅力で、堤防から本格的な磯場までシーンを問わず第一線で活躍します。
釣研 エキスパートグレ Z 0C
ハリスを長く取る全層釣法のために専用開発された、歴史ある名作フロロカーボン対応ウキです。特に0Cという浮力規格は、00号と0号の間という極限の精密さが職人の手作業によって1個ずつ厳密に調整されています。撒き餌の帯の中に仕掛けをなじませると、まるで撒き餌の粒そのものと同じような速度でオートマチックに同調しながら沈んでいくため、魚に一切の違和感を与えずに深い食い込みを誘発させることができます。
4. ウキフカセ釣り仕掛けの基本パーツ
フカセ釣りが難しく感じられる主な原因は、使用するパーツの多さにあります。しかし、それぞれの役割を理解すれば、決して複雑なものではありません。まずは仕掛けを構成する基本セットを把握しましょう。
道糸に結ぶウキ止め糸
ウキがこれ以上、上へいかないように道糸に結びつける専用の糸です。魚が泳いでいる狙いの水深であるタナを決める重要な役割を持ちます。
小さなシモリ玉
ウキ止め糸がウキの穴をすり抜けてしまうのを防ぐための、半円形や球形の小さなビーズです。これがないとウキが指定の位置で固定されません。
浮力を決める円錐ウキ
仕掛けを遠投し、魚のアタリを視覚的に伝える主役のパーツです。最初は扱いやすく汎用性の高いBまたは3Bの浮力を持つ円錐ウキが適しています。
衝撃を和らげる潮受けゴム
ウキの下に配置するクッション材であり、仕掛けの絡みを防ぐパーツの役割も兼ねています。潮の流れをしっかりと受け止め、仕掛けを自然に流す手助けもしてくれます。
道糸とハリスを繋ぐサルカン
糸のヨレを軽減する極小サイズの接続金具です。フカセ釣りでは10番から12番といった非常に小さなサイズを使用します。
魚との接点になるハリスと針
サルカンの先には、魚に見切られにくいフロロカーボン製のハリス(1.5号前後)を約3メートル接続します。その先端に、ターゲットに合わせたチヌ針やグレ針を結びます。
浮力を調整するガン玉
ウキの浮力を相殺し、仕掛けを沈めるためのオモリです。ウキの浮力表示に合わせて適切な重さを使い分けます。
キザクラ ウキ釣り速攻セット チヌ鈎
ウキから針、仕掛け一式を組むための小物がすべて一つにまとまった便利なスターターセットです。この製品の最大の強みは、すべてのパーツがあらかじめ一本の芯線に通されている点にあります。手持ちの道糸をその芯線に通して引っ張るだけで、細かいパーツが順番通りに一瞬で道糸へとセットされます。何から揃えればいいか迷ってしまう初心者の方が、フカセ釣り仕掛けの全体像と構造を理解するための最初の選択肢として非常におすすめです。
仕掛けを自分で組む6つのステップ
リールを竿にセットし、道糸をガイドにすべて通した状態からスタートします。パーツは必ず上から順番に通していくのが鉄則です。
手順1:ウキ止め糸を結ぶ
最初に道糸へウキ止め糸を結びます。位置はあとから自由に動かせるため、まずは針から5メートルほどの位置を目安に結んでおけば問題ありません。
手順2:シモリ玉を通す
次に道糸へシモリ玉を通します。これによってウキ止め糸がウキの内部を通り抜けてしまうのを物理的にストップさせます。
手順3:ウキを通す
ここでメインとなる円錐ウキを道糸に通します。ウキには上下の向きがあるため、シモリ玉側にウキの頭がくるように確認して通してください。
手順4:潮受けゴムを通す
ウキの下に潮受けゴム(ストッパー本体とゴムのセット)を通します。ウキが下にあるサルカンに直接ぶつかって傷つくのを防ぎ、同時に潮を捉える効率を高めます。位置はサルカンから30センチほど上の位置で固定するのが目安です。
手順5:サルカンを結びハリスを繋ぐ
道糸の先端にサルカンをしっかり結びます。次に、そのサルカンのもう一方のリングへ、ハリスを両手を広げた長さの約2倍である約3メートル切り取って結びつけます。
ハリスの傷は1投ごとに指先でチェック
ウキフカセ釣りでは、ハリスにフロロカーボンという擦れに強い糸を使用しますが、海底の岩やエサ取りであるフグの鋭い歯に触れると簡単にザラザラとした傷が入ってしまいます。
せっかく掛かった大物の強烈な引きでハリス切れを起こさないために、仕掛けを回収してエサを付け替えるたび、必ずハリス全体を指先でなぞって傷がないか確認する癖をつけてください。少しでもザラつきを感じたら、面倒くさがらずにその場でハリスを結び替えることが、確実に魚を手にするための鉄則です。
手順6:針を結びガン玉を打つ
ハリスの最先端に針を結びます。仕上げに、ハリスの中間あたりにガン玉を噛ませます。
ここで最も重要なのはウキの浮力とガン玉の重量バランスです。例えば3Bのウキを使用する場合、打つガン玉も3B(またはBと2Bの組み合わせなど)を基本とします。ウキが海面ギリギリにわずかに出る状態を作ることで、魚がエサをくわえたときの違和感を抑え、鮮明なアタリを出せるようになります。
食い渋る時間帯は針のサイズを下げる
仕掛けを正しく流しているにもかかわらず魚がエサを食い込まないときは、針のサイズをワンランク小さくしてみるのが効果的です。
具体的にはチヌ針なら2号から1号へ、グレ針なら6号から4号へ変更します。魚は針の金属的な硬さだけでなく「重さ」にも非常に敏感です。針を小さくして自重を軽くしてあげるだけで、刺し餌が海中でフワッと自然に漂うようになり、魚が口にしたときの違和感を抑えて深く食い込ませることができます。
ガン玉の微調整で仕掛けを馴染ませる
ウキに表記されている浮力はあくまで目安であり、当日の潮の速さや波の高さによって微妙に変化します。
ウキの浮力を完全に相殺して仕掛けを綺麗に馴染ませるために、ハリスの中間付近にG5などの極小のガン玉を1つ打ってみてください。このわずかな重量を追加する微調整だけで、刺し餌の不自然な浮き上がりがピタッと抑えられ、海中での馴染み方が見違えるように良くなり、渋いアタリをしっかりとウキへ伝えることが可能になります。
5. ウキフカセ釣りの基本となる5つの実戦動作
仕掛けが完成したらいよいよ実釣に移ります。ウキフカセ釣りでは、一連の動作を正しい手順で丁寧に行うことが釣果を大きく左右します。海中を立体的にイメージしながら、次の基本動作を実践していきましょう。
ステップ1:正確に水深を測るタナ取り
特に海底付近をタイトに狙うチヌ釣りにおいて、釣り場の正確な水深を把握する作業は釣果に直結する重要なプロセスです。
測定時は、針に重量のある専用のオモリ(タナ取りゴムなど)を刺して海へ投入します。投入後、ウキが水面下に沈んで見えなくなってしまった場合は、ウキ止め糸から針までの長さが実際の水深よりも短い状態を意味します。
この場合はウキ止め糸を少しずつ上へとずらし、再度仕掛けを投入します。これを繰り返してウキが水面ギリギリに綺麗に浮いている状態を作り出せれば、針がちょうど海底に触れている位置(底)を正確に捉えたことになります。この基準となる位置をしっかりと確認してウキ止めを固定します。
ステップ2:ポイントを作る撒き餌の打ち方
仕掛けを海へ投げ入れる前に、まずは魚を寄せるための撒き餌(コマセ)を準備します。
配合したコマセをヒシャクで掬い、狙ったポイントへ正確に2杯から3杯ほど投げ入れます。このときの重要なコツは、広い範囲にバラバラと散らして撒くのではなく、ヒシャクのカップ内でしっかりと圧着してお団子状にして、一点に集中して着水させることです。これにより、海中で無駄に拡散せず狙ったタナに濃いコマセの芯を作ることができます。
ダイワ ロングキャスターライト2 45-620
マキエをまとめやすい角度5度に設計されたカップ形状になっており、軽い力でも狙った場所へ的確にコマセを投げ入れることができます。素材には万が一海に落としたときにも回収がしやすいフローティングタイプが採用されているため、足場の低い堤防から磯場まで安心して使える親切な道具です。
ステップ3:仕掛けの投入と撒き餌への同調
ポイントにコマセが効き始めたら、仕掛けを投入します。
仕掛けはコマセを撒いた場所のピンポイントに直接落とすのではなく、少し奥の潮上(潮が流れてくる方向)を狙って静かに投げ入れます。着水後はリールのベールを戻し、道糸が張らず緩めずの自然な状態を維持できるように調整します。
海中で沈んでいくコマセの帯の中に、自分のハリスと刺し餌が自然に溶け込んで一緒に流れていく状態を意識します。この完璧に重なり合った状態を作ることを同調と呼び、ウキフカセ釣りで魚を釣るための最大の核となります。
ステップ4:風や波に負けないラインメンディング
仕掛けを綺麗に同調させるための最大の障壁となるのが、風や波のプレッシャーです。海面に浮いている道糸が風に引っ張られると、その抵抗でウキが不自然に引っ張られ、海中の仕掛けがコマセの帯から外れて浮き上がってしまいます。
ウキが潮の流れに対して不自然な速さで動いたり、横を向いたりしたときは、竿先を優しく高く持ち上げます。
空中で道糸を綺麗に「クルッ」と回すように操作し、風や波で膨らんだ糸を潮上の方向へと置き直す修正作業を行います。この一連の糸管理のテクニックをラインメンディングと呼びます。ウキが海中で余計な引っ張り抵抗を受けず、どこまでも自然に潮に乗って流れる環境をキープし続けるための大切な操作です。
ステップ5:アタリの見極めと確実なアワセ
仕掛けがコマセと同調して正しく流れていると、ウキが水面からスパッと勢いよく消し込んだり、あるいは前アタリとしてジワジワと水中へ吸い込まれていく独特のシグナルを発します。
ウキが完全に水中に引き込まれたのを確認したら、海面に出ている無駄な糸ふけ(たるみ)をリールで素べく巻き取ります。そこから竿を大きく頭上へと立てて、魚の口にしっかりと針を掛けるアワセ(フッキング)を入れます。竿全体にズッシリとした魚の重量感が乗ったら、竿の弾力を目一杯に活かしたファイトの始まりです。
ウキが沈んでも走るまで待つ向こう合わせ
ウキが海面から消し込んだ瞬間、嬉しさのあまり慌てて竿を振り上げてしまう即アワセは、ハリ外れや素針を引く原因になります。
ウキが水中へ入っても、魚がまだエサを口の先でくわえているだけの段階である可能性があります。ウキが見えなくなっても一呼吸置き、リールから出ている道糸が「バチバチッ!」と勢いよく手元から弾け飛ぶように走り出すまで待つことが確実なフッキングへの近道です。魚がエサを完全に飲み込んで反転した向こう合わせのタイミングで竿を立てるのが、最も確実に口元へハリを掛けるコツです。
6. 撒き餌と刺し餌を合わせる同調の基本
ウキフカセ釣りにおいて、撒き餌(コマセ)とハリに付けた刺し餌を海中で一致させる作業を同調と呼びます。海中で沈んでいくコマセの帯の中に、自分の刺し餌を同じ場所、同じタイミングで流し込めるかどうかが釣果を分けます。
コマセ作りに欠かせない専用バッカン
オキアミと集魚剤を現地で混ぜ合わせ、水分量を調節して使いやすいコマセを作るには、自立性の高い専用のハードバッカンが便利です。
シマノ バッカン リミテッドプロ BK-111X
磯場や波止での使いやすさを追求した、シマノのバッカンです。擦れやすい底面の物入れエッジ部分を肉厚化させた強固な成型ボトムを採用しており、ヒシャクのカップを側面に強く押し当ててコマセを硬くお団子状に押し固める作業をストレスなく行えます。
四隅には起伏の激しい岩礁帯でも滑りにくい立体ラバー底足が配置されており、傾斜のある釣り場でも抜群の安定感を誇ります。さらに、握るだけで一本にまとまり、押すだけで簡単に解除できる独自のガチットハンドルを搭載しているため、荷物の多いフカセ釣りでも持ち運びが格段にスムーズになる定番品です。
コマセを混ぜるマゼジャク
冷凍のオキアミブロックと粉末の集魚剤をバッカンの 中で均一に混ぜ合わせるには、専用のマゼジャク(コマセマゼ器)があると非常に便利です。
スコップや手で混ぜるよりも短い時間でしっかりと混ざるため、遠投しやすいまとまりのあるコマセを簡単に作ることができます。
ダイワ コマゼV 400L
カチカチに凍った冷凍オキアミをスムーズに細かく砕くことができる、ステンレス製の刃を採用した定番のマゼジャクです。
手のひらに馴染んで疲れにくいソフトタッチグリップが採用されており、硬いオキアミを砕くときにも手が痛くなりにくい設計になっています。刃の角度を状況に合わせて3段階に調整できる機能も付いており、バッカンと合わせて最初に揃えておきたい効率的な道具です。
ターゲットに合わせた配合エサの使い分け
コマセのベースとなるオキアミブロックに対し、魚種に合わせた専用の集魚剤を混ぜ合わせて作ります。
チヌを狙う場合の集魚剤
海底付近を好むチヌを狙う場合は、比重が重く、しっかり底に溜まる性質の集魚剤を選びます。さらに、チヌの視覚を刺激してポイントに足止めするためのムギやコーンなどの固形物が入っているものが効果的です。
マルキュー チヌパワーV10白チヌ
チヌ釣りでよく使われる配合エサです。着水すると海中で強い白い濁りを作り出すため、水が澄んでいる日でもチヌの警戒心を解くことができます。また、この白い濁りは釣り人側から潮の流れの向きや速度を目視で把握しやすいというメリットもあり、仕掛けをコマセの筋へ正確に同調させる作業を助けてくれます。
グレを狙う場合の集魚剤
中層から表層まで浮上してくるグレを狙う場合は、比重が軽く、水中で横方向へふわっと帯状に広がる拡散性の高い集魚剤が適しています。
マルキュー グレパワーV9
波止の数釣りから磯の大型狙いまで、多くのシーンで使用されているグレ用配合エサの定番です。横方向への拡散性と遠投力をバランスよく備えており、投入した場所から綺麗にコマセの帯を形成してグレを寄せます。扱いやすいまとまりの良さがあり、狙った潮目に正確にコマセを届けて仕掛けと同調させることができます。
ウキフカセ釣りで使用する刺し餌の種類
ハリに直接つける刺し餌は、作ったコマセの帯の中にしっかりと馴染ませて魚に食わせるための重要なエサです。主に3つの種類を使い分けます。
食い込みが良い生オキアミ
最も一般的で、魚が口にしたときの違和感が少ない定番の刺し餌です。コマセに使用する冷凍オキアミブロックから形の良いものを拾って使うこともできます。エサ取りが少ない時間帯や、魚の食いが渋いときに重宝します。
ハリ外れを防ぐ加工オキアミ
特殊な液体に漬け込むことで、身を硬く締めさせたオキアミです。水分が抜けているためハリから外れにくく、遠投するときや潮の流れが速い場所でも重宝します。
マルキュー くわせオキアミ スーパーハード L
独自の加工によってエサ持ちの良さを高めた、加工オキアミの定番商品です。しっかりと身が締まっているため、エサ取りの小魚が多い状況でも形を保ったまま本命がいるタナまで届きやすく、仕掛けを繰り返し遠投してもハリから千切れるトラブルを抑えてくれます。
エサ取りに強い練りエサ
小麦粉や魚粉を練り合わせて作った固形のエサです。オキアミに比べて格段にエサ持ちが良く、小魚の猛攻を耐え抜いて海底のチヌまで刺し餌を届けることができます。
マルキュー 食い渋りイエロー
視覚効果の高い鮮やかなイエローカラーが濁った海中でもアピールし、魚の捕食欲を刺激するフカセ釣り専用の練りエサです。必要な分だけちぎって丸めてハリに付けるだけなので、状況に合わせてエサの大きさを自由に変えられる点も強みです。
コマセの投入ルーティン
コマセを打つタイミングは、釣り場の状況やエサ取りの多さに応じて2パターンの方法を使い分けます。
基本となる先打ち
仕掛けを海へ投入する前に、先に狙いたいポイントへコマセを数杯打っておく方法です。あらかじめ海中にコマセの帯を作っておき、その沈下ラインを計算して仕掛けを後から潮上へ投入し、コマセの中に刺し餌を同調させるのが王道の組み立てです。
エサ取りが多い時の後打ち
足元に小さなエサ取りが大量に群れており、エサが本命のいる場所まで届かないような状況で有効なテクニックです。
まず足元へ多めのコマセを集中して打ち、エサ取りを足元に釘付けにします。その後、本命が潜む沖のポイントへ仕掛けを単体で遠投し、仕掛けが馴染んだタイミングで本命用のコマセを沖のウキの周りへピンポイントで1杯だけ後から被せるように打つ分離釣法を実践します。コマセを打つ場所とタイミングをずらすことで、エサ取りの猛攻をかわしながら同調状態を作り出すことができます。
7. 堤防チヌと磯グレの攻め方
チヌとグレはウキフカセ釣りの二大ターゲットですが、釣り場の環境や魚の習性によって、実戦での攻め方が大きく異なります。
堤防チヌを攻略する底を這わせるアプローチ
堤防のチヌは、壁や基礎に付着している貝やカニを意識して海底付近を回遊しています。そのため、仕掛けをいかにボトムへ落ち着かせるかが鍵を握ります。
タナ取りゴムを使って釣り場の水深を正確に測り、針がちょうど海底に触れるか、あるいはハリスを少し海底に這わせるような底トントンの状態を作ります。
仕掛けを流している最中、時々竿先を優しくゆっくりと持ち上げて、刺し餌をフワッと浮かせてから再び海底へ落とす誘いの動作を入れることで、チヌの捕食スイッチを刺激することができます。
磯グレを攻略する潮に乗せるドリフトアプローチ
複雑な潮流が流れる磯場では、立体的に潮の流れを捉えていくアプローチが必要となります。半遊動仕掛けで狙う場合、ウキ止めから針までの長さをまずは基本となる2ヒロ(約3メートル)に設定して釣りを開始します。
魚の反応やコマセへの浮き具合を見ながら、ウキ止めを上下に動かしてタナを柔軟に調整していくのがグレ釣りの王道です。
また、ウキ止め糸を使用しない全層仕掛けを用いることで、リールから出るラインをゆっくりと送り込み、撒き餌が沈んでいく軌道と完全に同調させながら仕掛けを深場へと潜り込ませていくことが可能になり、喰い渋るグレに対して非常に強力な一手となります。
8. ウキフカセ釣りを安全に楽しむために
ウキフカセ釣りは非常にゲーム性が高く面白い釣りですが、足場の悪い自然を相手にするため、安全への配慮と釣り場でのマナー、そして快適な装備の準備が長く楽しむための大前提となります。
不意の大物を確実に仕留めるタモ入れ
大きな魚が掛かった際、伸縮する長いタモ網の操作は初心者にとって最初の難関となります。
魚が掛かって暴れている最中に網を無理に迎えに行くと、ハリ外れやバラシの原因になります。まずはしっかりと竿の弾力を使って魚を水面まで浮かせ、空気を数回吸わせて大人しくさせることが肝心です。魚の動きが止まったら、網を固定して動かさず、竿の操作で魚を網の口へと優しく誘導して滑り込ませるのが確実なタモ入れのテクニックです。
ダイワ ランディングポール2 磯玉網 45-50
堤防から足場の高い波止、地磯まで幅広くカバーできる、シャフト(柄)、玉枠、ネットが最初からすべて一つになった大人気ランディングセットです。別々で買い揃える必要がないため、初心者でも迷わず揃えることができます。
魚の重みがかかっても不自然にたわまない高い剛性を持っており、長年愛され続けているベストセラーモデルです。片手でスムーズに振り出せる優れた操作性を備えており、大人しくなったターゲットを一発で確実にネットの中へ誘導する作業を強力に支えてくれます。
快適な釣りを支える偏光グラス
ウキフカセ釣りでは、海面のギラつきを抑えてウキの細かな動きや潮目の位置を正確に把握する必要があります。目から入る情報量が釣果を大きく分ける釣りのため、偏光グラスの着用は必須と言えます。
シマノ フィッシンググラス PC HG-078L
軽量で長時間の着用でも耳や鼻が痛くなりにくい、シマノのエントリー向け偏光サングラスです。歪みの少ない偏光レンズを採用しており、水面の反射光を綺麗にカットして海中のウキのシグナルや、コマセが流れていく軌道をはっきりと捉えることができます。目を紫外線や不意のフックから保護する安全面も含め、最初に揃えておきたい定番の1本です。
釣り場を汚さないコマセの洗い流し
ウキフカセ釣りを楽しんだ後は、堤防や磯場に飛び散って付着したコマセをそのままにして帰ってはいけません。放置されたコマセは強い悪臭を放ち、次の釣り人や地域住民への大きな迷惑となり、釣り場閉鎖の原因にも繋がります。
釣りが終了したら、必ず水汲みバケツで周囲の汚れを綺麗に洗い流してから撤収することを徹底してください。これが釣り場を守り、ウキフカセ釣りを愛するアングラーとしての最低限のマナーです。
まとめ:ウキフカセ釣りで海の一体感を味わおう
ウキフカセ釣りは準備や手順が多く、少し面倒に感じるかもしれません。しかし、自分で組み立てた戦略通りにウキが海中へ消し込み、チヌやグレの強烈な引きを竿全体で受け止める快感は、他の釣りでは決して味わえません。
まずは足場の良い堤防からスタートし、タナ取りゴムを使って海底の底を正確に釣るチヌ釣りで基本の動作に慣れてみてください。ライン操作やコマセの同調に自信がついたら、ぜひ本格的な磯場へ渡って複雑な潮流に潜むグレに挑戦してみましょう。その先には、生涯を通して熱中できる奥深い世界が待っています。



