
「新しいリールを買った!PEラインを巻くぞ!」
と意気込んだものの、そこで立ちはだかるのが「下巻き(下糸)」の壁です。
- 「PE0.6号を150m巻きたいけど、このリールだと下巻きは何メートル必要?」
- 「計算して巻いたはずなのに、スプールから溢れてしまった…」
- 「逆に少なすぎて、スプールエッジにラインが当たって飛ばない…」
こんな経験、ありませんか?
今回は、そんな面倒な計算を不要にする「物理的に100%成功する裏技」と、どうしても計算したい人のための「ライン太さ換算一覧表」を紹介します。
計算機はこちら↓
なぜ「下巻き」が必要なのか?
最近の浅溝(シャロースプール)のリールならそのまま巻けることも多いですが、汎用的なリール(深溝スプール)に細いPEラインを巻く場合、下巻きは必須です。
- 飛距離の確保: スプールいっぱいまでラインを巻かないと、キャスト時に放出されるラインがスプールの縁(エッジ)に当たり、抵抗になって飛びません。
- 節約: スプール全部に高価なPEラインを巻くのはコストがかかりすぎます。底上げには安いナイロンラインを使います。
- 滑り止め: PEラインをスプールに直接結ぶと、ライン全体が滑って空回りすることがあります。ナイロンを下巻きすることで滑り止めになります。
方法①:計算なし!「高速リサイクラー」を使った逆巻き法【推奨】
まず最初に、一番おすすめの方法を紹介します。
面倒な計算は一切不要。「物理的に合わせる」ので、1mmの狂いもなくピッタリ巻けます。
これには「第一精工 高速リサイクラー2.0」というアイテム(または空のスプール2個)を使います。
手順(逆巻きの手順)
- メインラインを先に巻く
- まず、空のリールに「実際に使いたいメインライン(PE)」を先に巻きます。
- 下巻き糸をその上から巻く
- PEラインの上から、「下巻き用ナイロンライン」を結び、スプールの適正量(エッジのギリギリ)になるまで巻き取ります。
- これで「必要なラインの総量」がリールに入った状態になります(ただし順番は逆)。
- ラインをひっくり返す
- ここからが「高速リサイクラー」の出番です。
- リールに巻いた糸を、一度「空のスプールA」に全部移します(これで下巻きが外側になります)。
- さらにもう一度、「空のスプールB」に移します(これで下巻きが内側に戻ります)。
- リールに巻き直す
- 最後にスプールBからリールへ巻き取れば、「下巻き→メインライン」の順で、ピッタリの量で収まります。
少し手間に見えますが、計算ミスで高価なPEラインを無駄にするリスクはゼロ。
「釣り人の必携ツール」と言われる理由がここにあります。
※これがあるだけで、ライン交換のストレスが「作業」から「楽しみ」に変わります。塩抜きやラインの裏返し(前後入れ替え)にも使えるので、元はすぐに取れます。
方法②:計算派のための「ライン太さ・糸巻き量」換算表
「道具を使わずに、ある程度計算で出したい」という方のためのデータ集です。
リールのスペック表には「ナイロン3号-150m」「PE1号-200m」などと書かれていますが、異なる号数を巻く場合は補正が必要です。
ライン標準直径一覧表(JAFS基準)
まず、ナイロンとPEでは同じ号数でも「太さ(直径)」が違います。
※PEラインは編み糸のため、メーカーやコーティングによって太さが大きく異なります。あくまで目安として使ってください。
| 号数 | ナイロン/フロロ標準直径(mm) | PEライン標準直径(mm)目安 |
| 0.6号 | 0.128mm | 約 0.132mm |
| 0.8号 | 0.148mm | 約 0.153mm |
| 1.0号 | 0.165mm | 約 0.171mm |
| 1.5号 | 0.205mm | 約 0.209mm |
| 2.0号 | 0.235mm | 約 0.242mm |
| 3.0号 | 0.285mm | 約 0.296mm |
| 4.0号 | 0.330mm | 約 0.342mm |
簡易計算式(比率計算)
リールのスペック上の糸巻き量から、下巻き量を出す簡易的な計算式です。
リールの最大糸巻量 – (巻きたいPEラインの量 × PEの太さ係数) = 下巻きスペース
…正直、これを毎回計算するのは大変ですよね。
そこで、よくあるリールのサイズを例に、「PEラインを150m巻く場合の下巻き目安」を算出しました。
【ケーススタディ】PE150m巻くときの下巻き目安
下巻き糸には、安価なナイロン2号(8lb)~3号(12lb)を使用する想定です。
| リール番手 | スプール深さ | メインライン | 下巻き目安 (ナイロン3号換算) |
| 2500番 | ノーマル | PE 0.6号 (150m) | 約 70m |
| 2500番 | ノーマル | PE 0.8号 (150m) | 約 60m |
| C3000番 | ノーマル | PE 0.8号 (150m) | 約 90m |
| C3000番 | ノーマル | PE 1.0号 (150m) | 約 75m |
| 4000番 | ノーマル | PE 1.2号 (150m) | 約 120m |
| 4000番 | ノーマル | PE 1.5号 (150m) | 約 100m |
※リールメーカー(シマノ・ダイワ)や機種によってスプール径が微妙に違うため、あくまで「7〜8割の精度」の目安です。
下巻きにおすすめの「コスパ最強ナイロンライン」
下巻き用のラインに高いお金をかける必要はありません。
釣具屋のワゴンにある安いラインで十分ですが、ネットで買える「500m巻き・600m巻きのボビン」を一つ買っておくと、数年は困りません。
おすすめは「3号(12lb)」あたりです。太すぎず細すぎず、最も面を平らに作りやすい太さです。
※500m入って数百円。下巻き用としてこれ以上のコスパはありません。カラーは何でも良いですが、クリアかブルーがリールの隙間から見えても綺麗です。
長さを測るなら「ラインカウンター」
「目安の70mって、どうやって測るの?」
ハンドル回転数(1回転70cmなど)で計算する方法もありますが、より正確にやりたいなら「デジタルラインカウンター」を使います。ロッドに挟むだけで、何メートル巻いたか表示してくれます。
まとめ:下巻きは「逆巻き」で攻略せよ!
今回は計算式と目安表も紹介しましたが、結論としては「高速リサイクラーを使った逆巻き」が最強の解決策です。
- メインPEを巻く
- 下巻きを足して満タンにする
- ひっくり返して巻き直す
この手間を惜しまなければ、計算ミスでラインを無駄にすることも、釣り場で飛距離にイライラすることもなくなります。
完璧なラインセッティングで、快適な釣りを楽しみましょう!


