ウキフカセ釣り入門!堤防チヌから磯グレまで「潮」と「同調」を制する

ウキフカセ釣り入門!堤防チヌから磯グレまで「潮」と「同調」を制する

みなさん、こんにちは!

今回は、海釣りのジャンルの中でも奥深い釣り「ウキフカセ釣り(フカセ釣り)」について、その深淵を覗いていきます。

堤防のチヌ(クロダイ)、磯のグレ(メジナ)。 この二大ターゲットを相手に、撒き餌(コマセ)で魚をコントロールし、潮の流れを読み、刺し餌を同調させる。 それはまるで、「海という盤上で繰り広げるチェス」のようなゲームです。

「堤防と磯で釣り方が変わるの?」と思いますが、「潮を読み、コマセと合わせる」という本質は全く同じです。 今回は、この普遍的な極意を軸に、足場の良い堤防から荒磯まで通用する「フカセ釣り入門」記事を書き上げました。

  1. 1. フカセ釣りとは:「撒き餌(コマセ)」の魔法
    1. 二大ターゲット:チヌとグレの決定的違い
    2. 堤防と磯の違いは「装備」と「潮の速さ」
  2. 2. 【タックル編】「PEフカセ」と「レバーブレーキ」
    1. ロッド:1号か1.5号か?
    2. リール:「レバーブレーキ」は必須科目
    3. ライン:PEラインが変えた世界
  3. 3.【仕掛け編】フカセ釣り仕掛けはプラモデル?
    1. フカセ釣り仕掛けの基本セット
    2. 仕掛けを組む「6つのステップ」
      1. 手順①:ウキ止め糸を結ぶ
      2. 手順②:シモリ玉を通す
      3. 手順③:ウキを通す
      4. 手順④:潮受けゴム(からまん棒)を通す
      5. 手順⑤:サルカンを結び、ハリスを繋ぐ
      6. 手順⑥:針を結び、ガン玉を打つ
  4. 4. 【ウキ編】海中の情報を伝えるアンテナ
    1. 円錐ウキの「浮力」使い分け
  5. 5. 【実践編】フカセ釣り「5つの動作」ガイド
    1. STEP 1:タナ(水深)を測る【最重要】
    2. STEP 2:コマセ(撒き餌)を打つ
    3. STEP 3:仕掛けの投入と「同調」
    4. STEP 4:ラインメンディング(糸の管理)
    5. STEP 5:アタリとアワセ
  6. 6. 【コマセワーク】同調率100%を目指す科学
    1. 配合の黄金比
    2. 投入のルーティン:先打ちか、後打ちか
  7. 7. 堤防と磯、それぞれの攻略メソッド
    1. 堤防チヌ:「底」を這わせる忍耐
    2. 磯グレ:「潮」に乗せるドリフト
  8. 8. 失敗から学ぶ:フカセ釣りの「壁」を超える10項目
  9. まとめ:海と対話する至福の時間

1. フカセ釣りとは:「撒き餌(コマセ)」の魔法

フカセ釣りとは、単にウキを見て待つ釣りではありません。 「撒き餌(コマセ)で魚の食い気を強制的にオンにし、人工的な流れを作って、そこに針(刺し餌)を紛れ込ませる釣り」です。

二大ターゲット:チヌとグレの決定的違い

ここを理解していないと、戦略が立ちません。

  • チヌ(クロダイ)
    • 生息域:海底(ボトム)付近。堤防の壁際やカケアガリ。
    • 性格:嗅覚が鋭く、濁りを好む。警戒心は強いが好奇心も旺盛。
    • 釣り方「底」を釣る。比重の重いコマセで一点にポイントを作り、そこへ仕掛けを這わせるイメージ。
  • グレ(メジナ)
    • 生息域:根(岩礁)周り。潮に乗って中層〜表層まで浮上する。
    • 性格:視覚が鋭く、潮の流れに敏感。コマセの帯に突っ込んでくる。
    • 釣り方「層(タナ)」を釣る。比重の軽いコマセと同調させ、立体的に攻める。

堤防と磯の違いは「装備」と「潮の速さ」

釣り方のロジックは同じですが、環境が違います。

  • 堤防:足場が良いが、スレている(賢い)魚が多い。繊細な仕掛けが必要。
  • :潮が速く複雑。足場が悪い。パワーのあるタックルと、徹底した安全装備が必須。

2. 【タックル編】「PEフカセ」と「レバーブレーキ」

フカセ釣りの道具は進化が凄まじいです。特にラインシステムは、ナイロンからPEへとパラダイムシフトが起きています。

ロッド:1号か1.5号か?

磯竿は5.3mが標準。ターゲットによって「号数(硬さ)」を選びます。

  • チヌ・堤防メイン0.6号〜1.0号。竿を曲げて、チヌの叩く引き(首振り)を吸収します。
  • グレ・磯メイン1.2号〜1.5号。根に突っ込むグレを強引に止めるパワーが必要です。

【おすすめロッド】

  • シマノ ライアーム 1.2-530
    • おすすめ理由:「パラボラチューンR」を搭載。竿の継ぎ目を感じさせない滑らかな曲がりは、魚を暴れさせずに浮かせます。堤防から地磯まで一本でこなすなら、この1.2号がおすすめです。

リール:「レバーブレーキ」は必須科目

フカセ釣りを本気でやるなら、「LBD(レバーブレーキドラグ)リール」を使ってください。 魚が突っ込んだ時、レバーを握ってローターを逆転させ、糸を出して体勢を立て直す。この「駆け引き」こそフカセの醍醐味です。

  • ダイワ 23 ラグザス 2500LBD
    • おすすめ理由:アルミボディの高剛性と、「BITURBO(バイターボ)ブレーキ」の制動力が魅力。レバーを握った瞬間、ガツン!とブレーキが効き、魚の走りを強制停止させます。デザインも高級感があり、所有欲を満たしてくれます。

ライン:PEラインが変えた世界

かつては「ナイロンライン」が常識でしたが、現在は「高比重PEライン」が主流になりつつあります。

  • メリット:伸びがないので小さなアタリが取れる。細いので風の影響を受けにくい。
  • デメリット:竿への糸絡みが多い(慣れが必要)。
  • 推奨PE 0.6号〜0.8号ショックリーダー(ナイロン)1.7号〜2号(3ヒロ=約4.5m)。

【おすすめライン】

  • シマノ ピットブル G5 (0.6号/0.8号)
    • おすすめ理由:フカセ釣り専用に開発された「沈むPE(高比重)」。風が強い日でもラインが水面に馴染み、仕掛けをポイントから外しません。これでフカセ釣りの難易度が半分になります。

3.【仕掛け編】フカセ釣り仕掛けはプラモデル?

フカセ釣りが難しく感じるのは、パーツ(部品)が多いからです。
ウキ、ストッパー、潮受け、サルカン、ガン玉……。
しかし、これらは「順番通りに糸に通すだけ」のプラモデルと同じです。

フカセ釣り仕掛けの基本セット

  1. ウキ:B または 3B(円錐ウキ)
  2. ウキ止め糸:市販の黄色やオレンジの糸
  3. シモリ玉(小):半円形のビーズ
  4. 潮受けゴム(またはからまん棒):クッション材
  5. サルカン(ヨリモドシ):極小サイズ(10番〜12番)
  6. :チヌ針 2号〜3号
  7. ガン玉(オモリ):G2、B、3Bなどのセット

【おすすめスターターセット】

  • キザクラ(kizakura) ウキ釣り速攻セット チヌ・グレ
    • おすすめ理由:ウキから針まで、必要な小物が全てセットになっています。「何を買えばいいか分からない」という方は、まずこれを買って構造を理解するのが一番の近道です。

仕掛けを組む「6つのステップ」

リールを竿にセットし、道糸をガイド(竿の穴)に通した状態からスタートします。 上から順番に以下の通りに通してください。

手順①:ウキ止め糸を結ぶ

道糸に「ウキ止め糸」を結びます。

  • 役割:ウキがこれ以上上がらないようにする(タナ=水深を決める)。
  • 位置:とりあえず針から5メートルくらいの位置でOK(後で動かせます)。

手順②:シモリ玉を通す

道糸に「シモリ玉」を通します。

  • 役割:ウキの穴は大きいので、ウキ止め糸がすり抜けてしまいます。この玉がストッパーの役割をします。

手順③:ウキを通す

ここで主役の「ウキ(例:3B)」を通します。

手順④:潮受けゴム(からまん棒)を通す

ウキの下に「クッション」を通します。

  • 役割:ウキがサルカンに当たって結び目が切れるのを防ぎます。また、潮の流れを受け止めて仕掛けを引っ張ってくれます。
  • 位置:サルカンの上、30cmくらいで固定。

手順⑤:サルカンを結び、ハリスを繋ぐ

道糸の先端に「サルカン」を結びます。 その反対側に、「ハリス(1.5号)」を3メートル(両手を広げた長さ×2)結びます。

手順⑥:針を結び、ガン玉を打つ

ハリスの先端に「針」を結びます。 最後に、ハリスの真ん中あたりに「ガン玉(B)」を打ちます。

  • 重要:ウキが3Bなら、ガン玉はB+G2くらいで浮力を調整します。ウキが海面ギリギリに浮くようにするのがコツです。

4. 【ウキ編】海中の情報を伝えるアンテナ

ウキはただ浮いているだけではありません。潮の流れ、向き、速度を教えてくれるセンサーです。

円錐ウキの「浮力」使い分け

  • B〜3B:標準。オモリを打って仕掛けを安定させる。堤防チヌや、風がある時に。
  • 0(ゼロ)〜00(ゼロゼロ)「全層釣法(沈め釣り)」用。オモリを使わず、コマセと同じ速度でウキごと沈めていく。スレたグレに最強。

【おすすめウキ】

  • キザクラ 黒魂 Ace (0号 / B)
    • おすすめ理由:どっしりとした形状で遠投性能が抜群。つや消し塗装で視認性が高く、逆光でも見やすい。チヌ釣りのド定番です。
  • 釣研 エキスパートグレ Z (0C)
    • おすすめ理由:1000釣法(全層釣り)のマスターピース。海面に浮くか沈むかのギリギリの浮力設定で、違和感なく魚に食い込ませます。

5. 【実践編】フカセ釣り「5つの動作」ガイド

仕掛けができたら実釣です。ここでは文字通り「どう動くか」を書きます。

STEP 1:タナ(水深)を測る【最重要】

特にチヌ釣りでは、これができていないと釣れません。

  1. 針に「タナ取りゴム(重いオモリ)」を刺します。
  2. 海に投入します。ウキが沈んで見えなくなったら、「ウキ下(ウキ止めから針まで)」が水深より短い証拠です。
  3. ウキ止め糸を上にずらして、再度投入。
  4. 「ウキが水面ギリギリに浮いている状態」になったら、そこが底(ボトム)です。その位置でウキ止めを固定します。

STEP 2:コマセ(撒き餌)を打つ

仕掛けを入れる前に、柄杓(ヒシャク)でコマセを2〜3杯、釣りたい場所に投げます。

  • ポイント:バラバラに撒かず、お団子にして一点に集中させます。

STEP 3:仕掛けの投入と「同調」

  1. コマセを撒いた場所の、少し奥(潮上)に仕掛けを投げ入れます。
  2. リールのベールを戻し、糸を張らず緩めずの状態にします。
  3. 【重要】:コマセの中に刺し餌(針)が入っていくイメージを持ちます。これを「同調」と言います。※後述

STEP 4:ラインメンディング(糸の管理)

ここが初心者の壁です。風や波で、海面に浮いた道糸が流され、ウキを引っ張ってしまいます。

  1. ウキが不自然に早く流されたら、竿先を高く上げます。
  2. 空中で道糸を「クルッ」と回し、潮の流れる方向(潮上)に置き直します。
  3. これを「ラインメンディング」と言います。ウキが自然に流れるように、道糸を邪魔させない操作です。

STEP 5:アタリとアワセ

  1. ウキが「スパッ!」と沈んだり、「ジワ〜」っと入っていったりします。
  2. 糸ふけ(たるみ)を巻き取り、竿を大きく立てて合わせます(フッキング)。
  3. 重みが乗ったらファイト開始!

6. 【コマセワーク】同調率100%を目指す科学

フカセ釣りで最も重要なのが「同調(シンクロ)」です。 「刺し餌(針)」と「撒き餌(コマセ)」が、海中で同じ場所、同じタイミングで流れること。これが成立しないと魚は食いません。

配合の黄金比

オキアミブロック(3kg)に対して、集魚剤(配合エサ)を混ぜます。

  • チヌ用:比重が重く、麦やコーンが入ったもの。底に溜めるため。
    • 例:マルキュー チヌパワーV10白チヌ
  • グレ用:比重が軽く、拡散性が高いもの。帯状に広げるため。
    • 例:マルキュー グレパワーV9

投入のルーティン:先打ちか、後打ちか

  1. 基本は「先打ち」:仕掛けを入れる前にコマセを打ち、ポイントを作る。
  2. 仕掛け投入:コマセのど真ん中、あるいは潮下へ投入。
  3. 「後打ち」:エサ取り(小魚)が多い時は、足元にコマセを打ってエサ取りを釘付けにし、本命用の仕掛けを沖へ入れ、そこにピンポイントで後打ちする(分離釣法)。

7. 堤防と磯、それぞれの攻略メソッド

堤防チヌ:「底」を這わせる忍耐

堤防のチヌは、壁についているカラス貝やカニを意識しています。

  1. タナ取り:必ず「タナ取りゴム」を使って水深を測る。
  2. 半遊動仕掛け:ウキ止めを付け、針が底を這う(底トントン)設定にする。
  3. 誘い:時々竿を持ち上げて仕掛けを動かし、エサをアピールする。チヌは動くものに反応します。

磯グレ:「潮」に乗せるドリフト

磯は流れがあります。

  1. タナ設定:最初は2ヒロ(約3m)からスタート。反応がなければ浅くしたり深くしたりします。
  2. 全層仕掛け(0ウキ):ウキ止めを付けず、道糸を送り込みながら、仕掛けをどんどん深場へ送り込む。
  3. ラインメンディング:これが最重要。風や表層流で道糸が引っ張られると、仕掛けがズレます。竿先を海面につけたり、打ち返して、道糸を潮のコース上に置き直す修正作業が必要です。

【おすすめアイテム:刺し餌】

  • マルキュー くわせオキアミ スーパーハード (L)
    • 選定理由:身が硬く加工されており、エサ持ちが良いです。遠投しても針から外れにくいので、初心者には必須です。

8. 失敗から学ぶ:フカセ釣りの「壁」を超える10項目

ここまでの内容で基本は網羅しましたが、実戦では思い通りにいかないことばかりです。私が現場で冷や汗をかきながら学んだ「リアルな解決策」を追記します。

  1. エサ取り地獄の対処:オキアミが瞬殺される時は、「練りエサ」「コーン」を使ってください。これだけでチヌへの到達率が10倍になります。
  2. ガン玉(オモリ)の微調整:ウキの浮力表示を信じすぎない。ハリスにG5(極小)を打つだけで、仕掛けの馴染み方が劇的に変わり、食い込みが良くなります。
  3. 針のサイズ:食わない時は針を小さくする(チヌ2号→1号、グレ6号→4号)。魚は針の重さを嫌います。
  4. 合わせのタイミング:ウキが沈んでも即アワセはNG。ラインが「バチバチッ!」と走るまで待って、向こう合わせ気味にするのが確実です。
  5. タモ入れの恐怖:5mのタモは操作が難しい。魚を水面まで浮かせ、空気を吸わせて大人しくさせてから、網を「迎えに行かず、魚を誘導して入れる」こと。
  6. 偏光グラスの重要性:ウキや潮目が見えないと釣りになりません。安物でいいので必ず着用を。
  7. 「潮目」=ゴミ溜まり:海面に泡やゴミが溜まっているライン。そこは下向きの潮流(潜り潮)が発生しており、コマセが溜まる一級ポイントです。
  8. ハリスのチェック:フグや岩でハリスが傷ついていないか、1投ごとに指で触って確認。大物は傷ついたハリスに来ます。
  9. 磯の洗い場:磯では波が被る場所(チャランボが必要な場所)もあります。絶対に無理をせず、乾いている高い場所を選んでください。
  10. コマセの洗い流し:釣りが終わったら、磯や堤防に落ちたコマセを水汲みバケツで綺麗に流す。これが釣り人のマナーであり、プライドです。

まとめ:海と対話する至福の時間

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 フカセ釣りは準備する荷物も多く、手順も複雑で、正直言って「面倒な釣り」です。 しかし、だからこそ面白い。

自分でブレンドしたコマセを打ち、潮の流れを読み解き、仕掛けを同調させる。 その完璧なロジックが組み上がった瞬間、ウキが「スパッ!」と海中に消し込む。 竿を立てると、海底からゴンゴンと首を振るチヌの重量感、あるいは根に向かって突っ走るグレのスピードが伝わってくる。

この快感は、他の釣りでは味わえません。 それは「海と会話が成立した瞬間」だからです。

まずは堤防から、チヌ釣りで「底」の感覚を掴んでください。 そして自信がついたら、磯へ渡り、青い海と荒々しいグレに挑戦してください。 その先には、一生の趣味となる奥深い世界が広がっています。

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