
みなさん、こんにちは!
釣り人なら誰しも一度は耳にしたことがある「雨の日は釣れる」というジンクス。 あなたはこれ、信じますか?それとも「ただ濡れるだけで全然釣れないよ!」と敬遠していますか?
実はこれ、どちらも正解なんです。 雨はフィールドに対して、水温、溶存酸素量、気圧、光量、塩分濃度といった「化学的・物理的な変化」を同時に引き起こす、まさに自然界の巨大なスイッチです。このスイッチが「プラス」に入るか「マイナス」に入るかを読み解くことができれば、ライバルたちが家で雨宿りをしている間に、あなただけがフィールドを独占して爆釣を味わうことができます。
今回は、「どれくらいの雨なら行くべきか?」「前日が雨ならどう動く?」「海と川での違いは?」など、雨と釣りの関係性を科学的根拠(サイエンス)に基づいて徹底的に深掘りします。初心者の方はもちろん、感覚で雨の日をこなしてきたベテランの方にも「なるほど、だからあの時釣れたのか!」と腑に落ちるように情報を詰め込みました。
1. なぜ雨の日は魚が浮く?「気圧低下」と「浮き袋」の物理学
雨が降るということは、そこには必ず「低気圧」が存在します。実は、雨粒が水面を叩くより先に、この「気圧の低下」が魚のスイッチを入れます。
魚には、浮力を調整するための「浮き袋」という風船のような器官があります。
平常時(高気圧・約1013hPaなど)では、水面にかかる空気の重さがしっかりと水を押し付けています。しかし、低気圧が接近して気圧が数hPa〜十数hPa下がると、水面にかかる圧力が弱まり、物理法則に従って魚の体内にある浮き袋が膨張しようとします。
この膨張による圧迫感を和らげるため、魚は本能的に「水圧の低い場所」、つまり深い場所(ディープ)から浅い場所(シャロー)や中層へと浮き上がってくるのです。
底に張り付いてルアーに見向きもしなかった魚が、気圧低下とともにフワッと浮き上がり、エサを探して動き回る。これが「雨の降り始めは釣れる」最大の科学的理由です。
2. 降水量(mm/h)で判断する「釣れる雨」のボーダーライン
「雨」と一口に言っても、その強さによってフィールドの状況は激変します。天気予報の「降水量」を基準に、行くべきか撤退すべきかを見極めましょう。
- 降水量 1mm/h(最高のステルス雨) 水面がシトシトと波立つ程度の雨。これが最も釣れる理想的な雨です。雨粒が水面を叩く音と波紋が、釣り人の足音やルアーの着水音、ライン(糸)の影を完全に打ち消す「ステルス効果」を生み出します。魚の警戒心が極限まで下がり、普段なら見切られるようなルアーでも躊躇なく食ってきます。
- 降水量 3mm/h(カレント発生・濁りの始まり) 傘をさしていても足元が濡れる本降りです。このレベルになると、インレット(流れ込み)の勢いが増し、フレッシュな水が入り始めます。魚は新しい水とエサを求めて流れ込みに集結します。ただし、土のバンク(岸)からは泥水が入り始めるため、ルアーのアピール力を上げる必要があります。
- 降水量 5mm/h以上(危険領域・沈黙の雨) バケツをひっくり返したような豪雨。ここまで来ると、水面が激しく乱れすぎて魚もルアーを見つけられません。さらに、大量の冷たい泥水が流れ込むことで水中の環境が急変し、魚はエラに泥が詰まるのを嫌って、カバー(障害物)の奥底でじっと動かなくなります。釣り自体が危険になるため、撤退を推奨します。
3. 夏の恵みと冬の絶望。水温変化がもたらす天国と地獄
雨がプラスに働くかマイナスに働くかは、「現在の水温」と「雨の温度」の相対関係で決まります。気圧が下がって魚が浮きたくても、水温変化がそれを上回るショックを与えてしまうことがあるのです。
【夏の雨(恵みの雨)】 水温が30度近くまで上がり、水中の酸素(溶存酸素量)が極端に少なくなっている真夏。ここに冷たい夕立が降ると、水面が冷やされると同時に、雨粒が空気を水中に巻き込みながら落ちるため、一気に「酸素の供給」と「水温低下」が起こります。サウナから水風呂に入ったような爽快感で、魚は狂ったようにエサを追い始めます。
【冬の雨(絶望の雨)】 逆に、水温が5度前後しかない真冬に、さらに冷たい雨が降った場合。魚の体内にある「消化や運動を司る酵素」が完全に働きを止めます。代謝が極限まで落ち込み、気圧が下がろうが何をしようが、物理的に身体が動かせなくなります。冬の雨の日は、よほど温かい南風(春一番など)を伴う雨でない限り、家でタックル整理をするのが賢明です。
4. 海と淡水で全く違う!「水潮(みずしお)」のメカニズム
ここはシーバスやアジなどの「海釣り」をする方に絶対に知っておいてほしい科学です。 バス釣りや渓流などの淡水では、雨が降れば単純に水が混ざりますが、海では「塩分濃度」と「比重」という要素が絡んできます。
真水(雨水)は、海水よりも比重が軽く、塩分が含まれていません。
そのため、大量の雨が海や河口に降り注ぐと、重たい海水の上に、軽い真水が層になって乗っかる「水潮(みずしお)」と呼ばれる現象が起きます。
多くの海の魚は、塩分濃度が急激に下がることを極端に嫌います。浸透圧のバランスが崩れ、体調を崩すからです。
私自身、大雨の翌日に河口へシーバスを狙いに行った際、表層にはボラすらおらず完全に生命感が消えていたことがありました。しかし、表層の「真水の層」を無視して、底を流れる「重たい海水の層」に重いバイブレーションを沈めて巻いた瞬間、強烈なアタリが連発したのです。
雨の後の海釣りでは、「上は真水、下は海水」という二層構造を頭に描き、レンジ(タナ)をいつもより深く設定することが釣果への絶対条件となります。
5. 視覚から側線(そくせん)へ。濁りの中のルアー・カラー科学
雨につきものなのが「濁り」です。濁りが入ると魚は目(視覚)が効かなくなるため、エサを見つけるメインセンサーを「側線(そくせん)」という、水流や振動を感じ取る器官に切り替えます。
つまり、透明な水で効いていた「本物の小魚そっくりで、微振動するルアー」は、濁りの中では単なるゴミと化します。 側線を強烈に刺激する、「水を大きく動かす(波動の強い)ルアー」が必要不可欠です。
【科学的カラー戦略】 水が濁り、さらに分厚い雨雲で光量が少ない水中は、私たちが思っている以上に真っ暗です。 光の波長の中で、水中で最も遠くまで届き、濁りの中で「シルエット」をはっきり見せることができる最強のカラーは、実は「ブラック(黒)」です。背景の濁った灰色に対して、黒は最もコントラスト(明暗差)が強く出ます。 そして、少ない光を反射して自己主張する「チャート(蛍光イエロー・グリーン)」。雨の日は、この「黒」と「チャート」の2択からルアーローテーションを始めるのが正解です。
6. 前日・当日・雨上がり。時系列で追う魚の移動パターン
雨の影響を時系列で追いかけましょう。魚は天気予報を知りませんが、気圧で未来を感じ取っています。
- 雨の降る前(気圧下降期): 最も釣れるタイミングです。「これから天候が荒れる」と察知した魚は、荒れ狂う前にカロリーを摂取しようと「荒食い」を始めます。巻物ルアーでテンポ良く広範囲を探りましょう。
- 雨上がり直後(増水パターン): 雨が上がり、水位が上昇(増水)している時。魚は流れのきつい本流を嫌い、「新たに水に浸かった岸際の草むら(冠水ブッシュ)」や、流れを避けられるワンド(入り江)の奥に避難しています。普段は陸地だった場所にエサとなるミミズやカエルがいるため、岸際ギリギリを狙うのが鉄則です。
- 雨上がり翌日(ピーカン無風): 台風一過のような、急激な晴天と無風。実はこれが一番厄介です。急な冷え込み(放射冷却)や、強烈な直射日光による急激な水温上昇など、環境が極端に振れるため魚は極度のストレスを感じます。この場合は、カバーの最奥にテキサスリグを落とし込むような、スローで丁寧な釣りが求められます。
7. 命を守る撤退基準!雷と増水、そしてダウンバーストの恐怖
釣果よりも何千倍も大切な話をします。 雨の日に絶対に注意しなければならないのが「落雷」です。
私たちが使っている釣竿(ロッド)のほとんどはカーボン素材で作られています。カーボンは、電線を触っているのと同じくらい強烈に電気を通します。
水辺という周囲に高いものがない開けた場所で、長いカーボンロッドを天に突き上げる行為は、自ら「避雷針」になっているようなものです。
雷鳴が遠くで「ゴロゴロ」と聞こえた時点で、雷雲はすでに10〜15km圏内にいます。雷は10km以上離れた場所にも平気で落ちます。
また、雷鳴が聞こえなくても、AMラジオに「ガガガッ」というノイズが入ったり、急に「冷蔵庫を開けたような冷たい突風(ダウンバーストの兆候)」が吹いたりしたら、それは積乱雲が真上に来ている証拠です。ルアーを回収するよりも先に、竿を地面に寝かせてすぐに車や安全な建物へ避難してください。
また、河川の場合、自分がいる場所で雨が降っていなくても、はるか上流での豪雨により、数分で足元が水没する「鉄砲水」が来るリスクがあります。雨の日の釣りは、常に背後の退路(高台)を確認しておくことが命を守る絶対条件です。
8. 雨の日を制覇する最強ルアー&超快適ギア
雨の日の過酷な環境を味方につけ、モチベーションを維持するための現行の特効アイテムを紹介します。
【雨の日のパイロットルアー(探り役)】
- エバーグリーン D-ZONE (Dゾーン) 3/8oz 濁りが入った雨の日のバス釣りにおける絶対的エース。強烈なブレードのフラッシングと金属の接触音が、側線をビンビンに刺激します。雨が降ったらまずはこれを巻いてください
- ジャッカル デラクー (DERACOUP) 1/4oz または 3/8oz こちらはバスでもソルトでも使える万能ルアー。コンパクトながら強烈なバイブレーションを放ち、雨や風で投げにくい状況でも弾丸のように飛んでいきます。安価で初心者にも扱いやすい名作です
【モチベーションを保つ最強の鎧(ウェア)】 雨の日に「濡れて寒い」と感じた瞬間、集中力は途切れ、釣りは苦行に変わります。ウェアには絶対に投資すべきです。
- ダイワ DR-1924 ゴアテックス バーサタイル レインスーツ 最新のゴアテックス素材を採用したハイスタンダードモデル。どれだけ雨に打たれても中はサラサラ、しかも透湿性が高いため、動き回っても汗冷えしません。立体裁断でキャスティングの邪魔にならないのも素晴らしいです
【雨の日の繊細なアタリを捉えるリール】 冷たい雨で手がかじかむと、リールから伝わる感覚が鈍ります。だからこそ、巻き出しが軽く、水中のわずかな変化を増幅して伝えてくれるリールが必要です。
- シマノ 23 ヴァンキッシュ 2500S 驚異的な軽さと、精密な巻き心地を誇るリール。雨音で視覚や聴覚が制限されている状況でも、手元に伝わる「ルアーの振動の変化」をはっきりと教えてくれます
雨の日はナイロンラインが水を吸って劣化しやすくなります。水を吸わないPEラインやフロロカーボンの特性についても復習しておきましょう!
まとめ:知識と装備で、雨を「最高の味方」に変えよう
いかがでしたか? 「雨=釣れる」という単純な方程式ではなく、そこには気圧、水温、塩分濃度、濁りといった複雑な科学的要因が絡み合っていることがお分かりいただけたと思います。
- 気圧低下で魚が浮き、雨音がプレッシャーを消す。
- ただし、急激な水温低下(特に冬)は魚の動きを止める。
- 海では表層の水潮を避け、深いレンジを狙う。
- 濁りの中では、視覚よりも側線を刺激する強い波動のルアー(黒やチャート)を使う。
- 雷と増水の兆候があれば、命を最優先に即撤収!
次に雨の予報を見たときは、「面倒くさいな」ではなく、「もしかして、あのポイントでデカいのが浮くかも?」と論理的に予測を立ててみてください。その予測がピタリとハマったとき、あなたは間違いなく釣りの腕が一段階上がっています。
さあ、まずは天気予報アプリを開いて、次の低気圧の接近日を確認してみましょう!そして、いざという時のためにレインウェアの撥水スプレーをかけておくのも忘れずに。






