
みなさん、こんにちは!
サーフ(砂浜)というフィールドには、性格の全く異なる2つの怪物が潜んでいます。 神出鬼没、中層まで獲物を追う「ヒラメ」。 恐竜のような風貌で海底に張り付き、落ちてくる獲物を待ち受ける「マゴチ」。
これらをまとめて「フラットフィッシュ」と呼びますが、はっきり言います。この2つは「別の魚」として狙わないと、釣果は伸びません。 「なんとなく投げたら釣れた」から卒業し、「今はマゴチの地合いだからボトムを叩く」「ヒラメが入ってきたから中層を引く」と、戦略的に釣り分ける。 これができるようになると、サーフゲームは10倍面白くなります。
今回は、それぞれの生態の違い、捕食スイッチの違い、そして最新のメソッドまで、「釣り分けの極意」を全て公開します。
1. 相手を知る:ヒラメとマゴチの「決定的な違い」
同じ場所にいるようで、彼らの見ている世界は全く異なります。
ヒラメ:実は「泳ぎ回る」ハンター
- 適水温:15度〜20度(春・晩秋・初冬がメイン)
- レンジ(泳層):底から50cm〜1m以上浮くこともある。
- 捕食スタイル:海底に擬態しつつ、頭上を通るベイトを見つけて飛びつく。あるいは、ベイトの群れを追って中層を泳ぎ回ることも。
- キーワード:「横の動き」「ドリフト」「シルエット」
マゴチ:海底の「待ち伏せ」スナイパー
- 適水温:20度〜25度以上(初夏〜真夏〜初秋がメイン)
- レンジ(泳層):底から20cm以内。徹底したボトム主義。
- 捕食スタイル:基本的には動かず、目の前に落ちてくるもの、這ってくるものに瞬発的に反応する。
- キーワード:「縦の動き」「リフト&フォール」「波動」
【傾向】 海水温の上昇により、マゴチのシーズンが長期化しています。以前は夏だけでしたが、今は11月や12月でも大型マゴチが釣れることが増えています。冬でも「ボトムを叩く」選択肢を捨ててはいけません。
2. 【タックル編】両方を獲るための「ハイブリッド」セッティング
ヒラメの繊細なバイトと、マゴチの強烈な首振り(ヘッドシェイク)。両方に対応する強靭かつ高感度なタックルが必要です。
ロッド:10ft以上、M(ミディアム)クラスの「乗せ掛け」調子
マゴチの口は硬く、ヒラメの口は切れやすい。相反する要素をカバーするには、ティップ(穂先)が入って、バット(根元)が強いロッドが必須です。
- 【鉄板の相棒】シマノ ネッサ SS S104M
- おすすめ理由:サーフ専用ロッドの代名詞。40gのジグまで背負え、マゴチの硬い上顎を貫通させるパワーがあります。
- 【感度の鬼】ダイワ オーバーゼア 106M
- おすすめ理由:沖の潮目、海底の質(砂か泥か)まで感じ取れる感度。マゴチが「コツッ」とついばむような小さなアタリも逃しません。
リール&ライン:飛距離は正義
よく「ドラグは緩めに」と言われますが、サーフのヒラメに関しては「ドラグは締め気味」が正解です。 ヒラメの口周りは非常に硬い骨で覆われています。ドラグが緩すぎると、フッキングの瞬間に糸が出てしまい、針が貫通しません。これが波打ち際でのバラシ(ポロリ)の最大の原因です。 「手で強く引っ張ってやっと出る」くらいの設定にして、強烈にフッキングしてください。
- リール:シマノ 4000XG / ダイワ LT4000-CXH
- ハイギアでないと、波打ち際でラインスラック(糸フケ)が取れず、ルアーが動きません。
- ライン:PE 1.0号〜1.2号
- 太すぎると飛びません。1.0号あれば座布団ヒラメもランカーマゴチも十分獲れます。
- リーダー:フロロカーボン 5号(20lb)
- 砂ズレ防止はもちろんですが、ヒラメやマゴチの鋭い歯対策です。細いリーダーは一瞬で切られます。また、ステルス性を高めるため、結束部は丁寧に締め込みましょう。
3. 【ルアー&アクション編】ここで「釣り分ける」!
ここが今回の核心部です。同じルアーでも「使い方」でターゲットが変わります。
ミノー:ヒラメ狙いの「エース」
フローティングやシンキングミノーは、基本的に「底を切って泳ぐ」ため、視線が上を向いているヒラメに特効です。
- ターゲット:ヒラメ 9割 / マゴチ 1割
- アクション:タダ巻き。時々止める(ストップ)。
- 【神ルアー】ダイワ ショアラインシャイナーZ セットアッパー 125S-DR
- 理由:圧倒的な飛距離と、荒れた波の中でも破綻しない泳ぎ。まずはこれを投げて、その日の潮の流れをチェックします。
メタルジグ・シンペン:「使い方」で化ける
これらは使い方次第でどちらも狙えます。
- ヒラメ狙いのアクション:
- 着底 → 5〜10回巻く(中層まで上げる) → テンションフォール(カーブを描いて落とす)。
- 「泳がせる時間」を長く取ります。
- マゴチ狙いのアクション:
- 着底 → 3回しゃくる(リフト) → ストンと落とす(フリーフォールに近い)。
- 「底を叩く回数」を増やします。
- 【万能兵器】デュオ ビーチウォーカー フリッパー 32g
- 理由:2つのフックで、腹の下から食い上げるヒラメも、上から押さえ込むマゴチも確実にフッキングします。
ワーム(ジグヘッド):マゴチ狙いの「最終兵器」
マゴチは「柔らかい波動」と「底でのズル引き」に弱いです。
- ターゲット:マゴチ 8割 / ヒラメ 2割
- アクション:ボトムバンプ(底で跳ねさせる)や、ズル引き(底を這わせる)。
- 【必釣】バディーワークス フラッグシャッド 4インチ + 45ヘッド
- 理由:重心が低く、ボトム感知能力が最強。マゴチが居れば一撃で食ってきます。
4. 【戦略・実践編】地形とタイミングで読み解く
地形で釣り分ける
- 離岸流(カレント)の中:ベイトが流されているのでヒラメが多い。
- ワンド(入り江)の深み:流れが緩む場所の底にはマゴチが溜まりやすい。
- カケアガリ(ブレイク):
- ブレイクの「斜面」や「上」についているのがヒラメ。
- ブレイクの「下(一番深いところ)」に張り付いているのがマゴチ。
離岸流(沖へ出る流れ)が一級ポイントなのは常識ですが、本当に大事なのは実は「足元の第1ブレイク」です。 波打ち際からわずか5m〜10m先、波が巻き上がって深くなる場所。 座布団ヒラメほど、この一番岸に近いブレイクに腹を擦り付けながら潜み、不用意に近づくベイトを狙っています。 「回収寸前まで気を抜かない」。これが鉄則です。
時間帯と光量
- 朝マズメ(薄暗い):活性が高いヒラメが中層まで浮きます。ミノーで手早くチェック。
- 日中(太陽が高い):ヒラメは深場へ落ちますが、マゴチは高水温を好むため、日中の浅場でもガンガン食ってきます。「昼はマゴチ」が合言葉です。
ヒラメ狙いの場合も、ここで諦めてはいけません。
- アクションを変える:朝はタダ巻きでOKでしたが、日中は「リフト&フォール」でリアクション(反射食い)を誘います。
- 場所を変える:水深のあるエリアや、濁りが入っている場所へ移動(ランガン)します。
潮汐のゴールデンタイム:「下げ3分」
満潮から潮が引き始めて、全体の3割くらい引いた時間帯(下げ3分)。 この時、水が大きく動き出し、プランクトンやベイトフィッシュが流され始めます。ヒラメの活性が一気に上がるこのタイミングを逃さないでください。
風を利用する:向かい風は「チャンス」だ
「向かい風だから釣りにくい」と帰っていませんか? 実は、向かい風は「ベイトフィッシュを岸際に押し寄せる」効果があります。 飛距離は落ちますが、魚は足元にいます。重めのメタルジグを使い、手前のブレイクを丁寧に探ってください。 逆に追い風の時は、飛距離を活かして沖の「第2ブレイク」や「瀬(浅くなっている場所)」を直撃します。
ランディング(取り込み)の注意点
ここ重要です!
- ヒラメ:波に乗せてズリ上げる際、最後まで抵抗しません。波の力を使えば比較的楽です。
- マゴチ:波打ち際で激しく首を振ります(ヘッドシェイク)。ここで針が外れることが非常に多い。「波打ち際でも絶対に糸を緩めない」「ロッドを寝かせて横に引く」ことがキャッチ率を上げます。
5. まとめ:二兎を追う者が、二兎を得る
サーフゲームは、闇雲に投げる釣りではありません。 「今は水温が上がってきたから、マゴチがボトムで上を見ているはずだ」 「ベイトが浮いているから、ヒラメが中層で待ち構えているはずだ」
このように、海の中で起きていることを想像し、ルアーとアクションを選択する。 その狙い通りに、「ガツン!」とロッドが止まる瞬間。 そして波間から現れたのが、狙い通りの「平べったい魚」か「ワニのような魚」だった時、あなたはサーフゲームの真の喜びに震えるはずです。
- 浮かせればヒラメ、叩けばマゴチ。
- 朝はヒラメ、昼はマゴチ。
- 諦めずに歩いた距離だけ、魚に近づく。
さあ、準備はいいですか? 広大な砂浜のどこかに、あなたを待つパラダイスがあります。




