
みなさん、こんにちは!
今回は釣り人の最終到達点の一つとも言える「磯(ロックショア)」へ足を踏み入れます。
ターゲットは、岩礁帯の王様「ロックフィッシュ(根魚)」。 アカハタ、オオモンハタ、キジハタ、そして幻のクエ。 彼らは「根」に潜み、獲物を見つけるや否や、トップスピードで襲いかかり、反転して巣穴へ戻ろうとします。
この釣りは、「魚を掛けてから、獲るか潜られるかの0.5秒の力比べ」です。 生半可なタックルや知識では太刀打ちできません。しかし、磯という雄大なロケーションで、鮮やかな魚体のハタを抜き上げた時の感動は、他の釣りでは決して味わえません。
今回は、安全装備の徹底から、流行中の「フリーリグ」の使いこなし、そしてハタの種類による「泳層(レンジ)」の釣り分けまで、様々な視点から解説していきます!
1. はじめに:なぜ今、磯ロックフィッシュなのか
かつてロックフィッシュといえば、夜の堤防でカサゴを釣るイメージでした。 しかし現在、タックルの進化により、日中に磯から大型の「ハタ類」を狙う「ハードロックフィッシュゲーム」が爆発的な人気を誇っています。
その理由はシンプル。「食ってよし、釣ってよし」だからです。 高級鍋の具材として知られるハタ類が、ルアーで、しかもショア(岸)から狙える。そしてその引きは、同サイズの青物を凌駕するほどのトルクを持っています。
※最重要:命を守る「装備」について
磯釣りは危険と隣り合わせです。タックルの前に、必ず以下の装備を整えてください。これがないとスタートラインに立てません。
- フローティングベスト(ライフジャケット):膨張式はNGです。岩で擦れて破れます。必ず「固形式(発泡材入り)」のロックショア対応モデルを着用してください。
- 磯靴(スパイクシューズ):スニーカーは自殺行為です。海苔や海藻で滑る磯では、フェルトスパイクやピンスパイクが必須です。
- グローブ:手を着いた時の怪我防止、糸を引っ張る際の保護に必須です。
2. ターゲットを知る:「スイミング」と「ボトム」の釣り分け
ハタ類なら何でも同じ釣り方、ではありません。ここを理解しているかが、釣果の分かれ道です。
アカハタ・カサゴ(ボトム依存型)
- 生態:海底の岩の隙間や、海藻のジャングルに潜んでいます。あまり泳ぎ回らず、落ちてくるエサや底を這うエサを捕食します。
- 攻略法:「ボトムバンプ」や「リフト&フォール」で、徹底的に底を叩きます。
オオモンハタ(スイミング追尾型)
- 生態:ハタ類の中でも特異で、イワシなどの小魚を追って中層まで泳ぎ回ります。
- 攻略法:ジグヘッドやテキサスリグの「スイミング(巻き)」が有効。底ばかり叩いていても釣れません。
キジハタ(ハイブリッド型)
- 生態:上記の両方の性質を持っています。日によってボトムにべったりだったり、中層を泳いだりします。
- 攻略法:まずはスイミングで広く探り、反応がなければボトムをネチネチ攻める展開が必要です。
3. 磯ロックフィッシュおすすめタックル選定
磯では「強引なやり取り」が求められます。ライトゲーム用のタックルでは歯が立ちません。
ロッド:ベイトかスピニングか?
- スピニング:飛距離が出る、バックラッシュしない、広範囲を探れる。磯初心者には絶対こちらがおすすめ。
- ベイト:太い糸を使える、巻き上げパワーが強い、手返しが良い。足元から急深な磯や、ピンスポット撃ちに最適。
【おすすめ:万能スピニングロッド】
- シマノ ハードロッカー SS S83MH
- おすすめ理由:全国の磯で使えるバーサタイルモデル。8フィート3インチという長さは、遠投性能と操作性のバランスが最高です。「MH(ミディアムヘビー)」パワーがあれば、40cmクラスのアカハタも強引に浮かせられます。
【おすすめ:剛腕ベイトロッド】
- ダイワ HRF AIR 86M/MHB
- おすすめ理由:ティップはM(ミディアム)で食い込みやすく、バットはMHB(ミディアムヘビーベイト)で強靭。根に潜ろうとする魚をねじ伏せるパワーがあります。
リール:剛性と巻き取り速度
根に潜られる前に引き剥がすため、ハイギア(HG)またはエクストラハイギア(XG)が必須です。
- スピニング:ダイワ 24 セルテート LT4000-CXH
- おすすめ理由:2024年登場のアルミモノコックボディは伊達じゃない。ゴリ巻きしてもボディが歪まない剛性は、ロックフィッシュゲームのためにあると言っても過言ではありません。
- ベイト:ダイワ 25 HRF TW 100XH PE SPECIAL
- おすすめ理由:PEライン専用設計のブレーキシステムで、バックラッシュの恐怖から解放されます。ロックフィッシュ専用機としての信頼性はNo.1です。
ラインシステム:根ズレとの戦い
- メインライン:PE 1.5号〜2.0号。細糸は命取りです。
- リーダー:フロロカーボン 6号〜8号(25lb〜30lb)。
- 重要!長さについて:磯では2ヒロ(約3m)以上取ってください。キャスト時にメインラインが岩に触れるのを防ぐためです。
4. 【リグ(仕掛け)編】「フリーリグ」が世界を変えた
かつては「テキサスリグ」一択でしたが、現在は「フリーリグ」が主流になりつつあります。
フリーリグの革命的メリット
シンカー(オモリ)の穴にラインを通すだけのシンプルな構造ですが、ストッパーを付けません。
- キャストして着水。
- 重いシンカーが先に垂直に落ちる。
- ワームが後からゆっくりノーシンカー状態で漂う。 この「ノーシンカー状態」の時間(食わせの間)が、スレた大型ハタに劇的に効きます。また、垂直に落ちるので根掛かりも減少します。
【必須シンカー】
- ジャングルジム ビーンズシンカー 21g〜35g
- おすすめ理由:ティアドロップ型で隙間に入り込みすぎず、抜けやすい。黒色塗装で魚に警戒心を与えません。磯なら28g(1オンス)を基準にしてください。
ワーム(ルアー)の「波動」と「匂い」
ハタは甲殻類(カニ・エビ)と小魚(ベイトフィッシュ)を捕食しています。
- 【甲殻類パターン】エコギア バグアンツ 3インチ
- おすすめ理由:ロックフィッシュの餌。「北陸クリアホロ」や「ホットオレンジ」は必携。大きなパドルが水を押し、強烈にアピールします。
- 【小魚パターン】エコギア バルト 3.5インチ / 4インチ
- おすすめ理由:オオモンハタ狙いのスイミングにはこれ。大きなテールがブリブリと動き、中層の魚を引っ張ってきます。
- フック:デコイ キロフック ワーム17 (#1/0 〜 #2/0)
- オフセットフックを使います。針先をワームに隠せるので、根掛かりを恐れず攻められます。
先に重りを糸に通し、そのあと針を結束するだけ。
ワームの取り付け方はこちらを参考にしてください。
5. 【実践編】根掛かりを恐れず、根をかわすテクニック
磯釣り最大の敵は「根掛かり」です。しかし、根掛かりを恐れていては魚は釣れません。
アクションの基本:リフト&フォール
- キャストしたら、必ず「着底(ボトム)」を感じる。「トン」という感覚です。
- 着底したら即座にロッドを煽り(リフト)、ルアーを跳ね上げます。
- ロッドを立てたまま、カーブフォールで再び着底させます。
- 重要テクニック:着底した瞬間、「0.5秒以内」に次のアクションを起こしてください。着底したまま放置すると、隙間にオモリが挟まり、即根掛かりします。
根掛かりの外し方
もし引っかかっても、力任せに引っ張らないでください。
- ラインを緩める(テンションを抜く)。
- ロッドを軽く弾くように「チョンチョン」と揺する。 オモリが岩の隙間から「ポロリ」と外れるイメージです。これを覚えると、ロスト率が激減します。
フッキングからランディングまでの「鬼巻き」
「コンッ!」という明確なアタリ、あるいは「ヌッ」と重くなるアタリがあったら。
- フルパワーでフッキング! 鬼合わせです。
- ロッドを立ててゴリ巻き! 魚に主導権を与えてはいけません。1mmでも潜られたら負けです。
- 水面まで浮かせたら、波のタイミングに合わせて一気に抜き上げます。
- ※50cm近い大型や、足場が高い場合は、無理せずタモ網(ランディングネット)を使いましょう。
6. 失敗談から学ぶ:ベテランへの「壁」を超える10項目
私を含めたみんなの苦い経験を元にした、伝えるべきこと。
- 「着底感度」が全て:タングステンシンカーを使えば、鉛よりも硬度が高く、着底が明確に分かります。高いですが、ロスト率が下がるので結果的に安上がりです。
- リーダーの結び直し:一匹釣るごとに、あるいは根ズレを感じたら、必ずリーダーの傷チェックを。ここを怠ると、次の大物で泣きます。
- 潮止まりは釣れない:ハタも潮が動いている時に食います。潮見表を見て、流れがある時間を狙い撃ちしましょう。
- 「キワ」こそ一級ポイント:遠投も大事ですが、足元の磯際(スリット)に大物が潜んでいます。最後に足元を探るのを忘れずに。
- ワームのズレは命取り:ワームがズレていると回転して食いません。「スプリングキーパー」付きのフックを使うのが裏技です。
- 色のローテーション:朝夕は派手な「オレンジ・赤」、日中澄み潮は「グリーンパンプキン・クリア系」。
- ブレードチューン:ワームに「ブレード」を付けると、フラッシング効果でオオモンハタの反応が劇的に上がります。
- 夏場は熱中症対策:照り返しのきつい磯では、水分は多めに。3リットルは持っていきましょう。
- 先行者への挨拶:磯は狭いコミュニティです。挨拶一つで、最近の釣果情報を教えてもらえることもあります。
- リリース精神:30cm以下の小型はリリースを。成長の遅い魚なので、根こそぎ釣ると翌年から釣れなくなります。
7. まとめ:荒磯の王者に挑む君へ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 磯のロックフィッシュゲームは、体力も使いますし、根掛かりで心を折られることもあります。 しかし、あのゴツゴツとした岩礁帯から、真っ赤な宝石のようなアカハタや、豹柄の美しいキジハタを引きずり出した瞬間のアドレナリンは、他の釣りでは代替できません。
私が初めてアカハタを釣った時。 強烈な突っ込みにロッドが絞り込まれ、リールのハンドルが重くなり、「切られるか!?」と焦りながらも必死に耐えました。 浮いてきた魚体の鮮やかな赤色を見たとき、手が震えて止まりませんでした。
あなたにも、この感動を味わってほしい。 まずはしっかりとした装備を整え、安全な地磯からチャレンジしてみてください。 根掛かりを恐れず、ボトムを感じ、力強くフッキングを決める。
その先には、磯の王者があなたを待っています。





