
釣具のメンテナンスは面倒に感じるかもしれませんが、海釣り後の手入れを怠ると、高価なリールやロッドの寿命は一気に縮まります。敵は塩とサビです。
この記事では、釣具の寿命を3倍に延ばす、リールとロッドの「塩抜き・水洗いの正しい手順」と「錆びさせない保管方法」を、初心者でも迷わないように徹底解説します。
1. なぜ海釣り後の「塩抜き」が絶対に必要なのか?
海水の塩分は、釣具にとって最大の敵です。
- サビと腐食: 海水の塩分が金属パーツ(リールのベアリング、ラインローラー、ロッドガイド)に付着し、放置すると急速にサビや腐食を引き起こします。
- 初期症状の発生: サビや塩の結晶により、リールではゴリ感やシャリ感が発生し、ロッドでは継ぎ目(フェルール)の固着が起こるなど、釣具の性能低下を招きます。
適切な塩抜きと乾燥が、釣具を長く使い続けるための絶対条件です。
2. 【リール編】失敗しない水洗いの基本手順
リールは精密機械です。内部への浸水を防ぐため、水圧をかけすぎないことが鉄則です。
2-1. リール水洗いの「NG」と「OK」
| NG行為 | OK行為 |
| シャワーの直射(高水圧) | 流水で優しく流す(低水圧) |
| 水に漬け込む(完全水没) | 水をかけるだけ(内部への浸水防止を優先) |
| 分解して洗う | そのままの状態で洗う |
2-2. 正しい水洗い手順
- 軽く流す(塩分除去): ドラグを緩めた状態(または通常使用時と同じ状態)で、リール全体に軽く流水をかけます。特に塩分が溜まりやすいスプール、ラインローラー、ハンドルノブ付近を丁寧に流します。
- ハンドルを回しながら: ハンドルをゆっくり回しながら(リールの動きを確認しながら)、リール全体に水をかけ、残りの塩分を洗い落とします。
- 水切りと乾燥: 乾いたタオルで水気を拭き取ります。その後、ハンドルを外した状態で風通しの良い日陰に一晩置きます。
- ❌ NG: 直射日光やドライヤーでの急激な乾燥は、内部パーツやグリスの劣化を招くため避けてください。
- 注油(アフターケア): 完全に乾燥した後、メーカー指定の注油ポイント(ラインローラーやハンドルノブの付け根など)に専用オイルを1滴ずつ注します。
3. 【ロッド編】ガイドと継ぎ目の重点洗浄と固着防止
ロッドの塩抜きは、ガイドリングと継ぎ目に残った塩の結晶を除去することが目的です。
3-1. 正しい水洗い手順
- ガイドの洗浄: ロッド全体に流水をかけ、特にガイドリングとそのフレームの根元に溜まった塩分を、柔らかいスポンジで優しく洗い流します。
- 継ぎ目(フェルール)の洗浄: ロッドを繋いだまま軽く水洗いした後、ロッドを外し、継ぎ目の内側・外側(特に差し込む部分)を布で拭きながら丁寧に洗います。
- 拭き取りと乾燥: 乾いたタオルで全体をしっかり拭き取ります。継ぎ目部分の内側は、綿棒やティッシュを巻き付けた竹串などで水分を吸い取ります。
3-2. 固着を防ぐワックス処理
乾燥後、ロッドの継ぎ目部分が固着しやすい場合は、専用のフェルールワックス(またはロウ)を薄く塗布しておくと、次回スムーズに着脱でき、ロッドの摩耗も防げます。
リンク
4. 釣具を錆びさせないための「乾燥」と「保管」の極意
釣具の寿命は、水洗いよりも「乾燥」と「保管環境」が決定づけます。
4-1. 乾燥のルール
- 完全乾燥が命: 少なくとも一晩(12時間以上)は風通しの良い場所で自然乾燥させます。
- ロッドは分解: 継ぎ目の中に湿気が残ると固着の原因になるため、必ず外した状態で壁などに立てかけておきましょう。
4-2. 最適な保管環境
| NGな保管場所 | OKな保管場所 |
| 湿気の多い場所(浴室付近、玄関の下駄箱) | 風通しが良く、温度変化が少ない場所(リビングの隅、クローゼットの上段) |
| 車内(急激な温度変化と湿気が発生) | ロッドケースやリール袋に収納し、ホコリから守る |
| 直射日光が当たる場所(ロッドのブランクス劣化) | 日陰 |
リンク
5. まとめ:チェックリスト
この手順を習慣化して、あなたの釣具を末永く愛用しましょう。
- リールは流水で優しく洗い、ドラグ付近も丁寧に。
- ロッドはガイドと継ぎ目の塩分をしっかり落とす。
- 洗浄後は、タオルで拭き取り、分解して日陰で完全乾燥させる。
- 乾燥後、リールは注油、ロッドの継ぎ目にはワックス。
リンク


